この記事は開発中の製品の検証記録です。UwEditor Pro はまだ発売していません(発売時期未定)。
前回は「48GBのファイルを開いて検索するまで」を比べました。今回はその先——編集して、途中で保存するまでです。
同じPC・同じ48GBファイル・同じ検索語で、比較の条件を揃えてあります。
比較相手は前回と同じ EmEditor Professional。巨大ファイルを扱えるWindowsのエディタとして、実質的にここが基準になります。前回の記事でも書いたとおり、編集機能の豊富さではEmEditorが圧倒的です。その前提は変わっていません。
変わったのは、UwView 側に編集が乗ったことです。
先に結論
| 操作 | EmEditor(2回の平均) | UwEditor Pro | 比 |
|---|---|---|---|
| ファイルを開く | 103.6 秒(116.8 / 90.4) | 107.1 秒 | 互角(むしろEmEditorがわずかに速い) |
| 「東京」を全文検索(94,979行がヒット) | 194.7 秒(245.3 / 144) | 23.9 秒 | 約8倍 |
| 「東京」→「Tokyo」を全置換 | 210.5 秒(257 / 164) | 35.9 秒 | 約6倍 |
| 途中保存(作業を中断するための保存) | 31 分(1,860秒) | 0 秒(押した瞬間) | — |
| 最終的な書き出し(1つのファイルにする) | 同じ操作をもう一度・31 分 | 1 分33秒 | 約20倍 |
EmEditor の3項目は2回計測の平均です。個別値も括弧内に併記しました(ばらつきが小さくないため)。
開くのは互角——むしろEmEditorのほうがわずかに速い。差がつくのは、その後の全部です。
この比較が成り立つ条件 — 10GB程度なら、EmEditor のほうが速い
先に、この記事の射程をはっきりさせておきます。
今回のテストPCはメモリ16GBです。48GBのファイルは、メモリに入りません。 上の数字は、すべてその条件で出たものです。
10GB程度——つまりメモリに収まるサイズでは、検索も置換も EmEditor のほうが格段に速く動きます。
メモリを多く積んだPCなら、EmEditor はかなり巨大なファイルでも高速です。
EmEditor は高機能で、普通の「巨大ファイル」に対しては十二分な性能を持つ、良いソフトです。
マクロ、CSV編集、正規表現の細かな制御、プラグイン——編集機能の豊富さでは比べるまでもありません。
UwEditor Pro が有利になるのは、メモリに入らないサイズ——それより先の領域だけです。
そこだけのために作った道具であって、エディタとしての優劣の話ではありません。
「10GBのログを毎日開く」なら EmEditor をおすすめします。
この記事が意味を持つのは、扱うファイルが搭載メモリを超えたときです。
検証環境
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| PC | HP Spectre x360(前回と同一機) |
| OS | Windows 11 Home(x64) |
| CPU | Intel Core i7-1165G7 2.80GHz(4コア8スレッド) |
| メモリ | 16GB |
| ストレージ | 内蔵SSD |
| テストデータ | OpenStreetMap 日本 |
| ファイル容量 | 約48GB(前回と同一ファイル) |
| 行数 | 約8.92億行 |
| 文字コード | UTF-8 |
| 検索文字列 | 「東京」 |
| EmEditor | Professional 64-bit v26.2.5(前回と同じ) |
| UwEditor Pro | v1.3.3(開発版) |
両製品とも同じPC・同じSSD・同じファイルです。
1. 開く — ここは互角
EmEditor 103.6秒(116.8秒と90.4秒の平均)/ UwEditor Pro 107.1秒。
この項目だけは、EmEditor のほうがわずかに速いという結果でした。
前回の記事にも書いたとおり、初回オープンで劇的な差は出ません。どちらも48GBを物理的に読む必要があるからです。ここで「圧倒的に速い」と書くつもりはありません。
差が出るのは2回目以降で、UwEditor Pro は圧縮索引(.uwvz)を保存するので、次に開くときは瞬時です。ただし今回の主題はそこではありません。
2. 検索 — 245.3秒 が 23.9秒 に
「東京」の全文検索で 94,979行がヒットします。この件数は両製品で一致しました(同じ問いに、同じ答えを返しているということです)。
| 時間 | |
|---|---|
| EmEditor(1回目 / 2回目) | 245.3 秒 / 144 秒 → 平均 194.7 秒 |
| UwEditor Pro | 23.9 秒 |
約8倍。 3分待つか、24秒待つか。1回なら誤差ですが、調査は検索を何十回も繰り返す作業です。
この差には、並列度の違いが含まれています
数字の意味を正確にしておきます。この8倍は、アルゴリズムだけの差ではありません。
EmEditor 側はスレッド数を 8 に設定して実行しました。ただし実際には 1スレッドで動作していたように見えました。
メモリ量とファイルサイズを見て、自動的にそう判断したのだと思われます。UwEditor Pro は8スレッドで動いています。
つまりこの差は、同じ条件下で実際に使われた並列度の違いを含んでいます。
メモリに余裕のある環境なら、EmEditor 側も並列で動き、差は縮むはずです。
これは EmEditor の欠陥ではなく、16GBのメモリで48GBを扱うという条件が課した制約です。
そしてこの記事は、まさにその条件についての記事です。
EmEditor 側は1回目と2回目で 245.3秒 → 144秒 と大きく縮んでいます(OSのファイルキャッシュが効いたと思われます)。
速いほうの144秒と比べても、UwEditor Pro は6倍です。
理由は前回と同じで、UwEditor Pro が読んでいるのは生の48GBではなく圧縮索引だからです。読むバイト数が少なければ、それだけ速く終わります。
3. 置換 — 257秒 が 35.9秒 に
「東京」を「Tokyo」に全置換します。
| 時間 | |
|---|---|
| EmEditor(1回目 / 2回目) | 257 秒 / 164 秒 → 平均 210.5 秒 |
| UwEditor Pro | 35.9 秒 |
約6倍。 速いほうの164秒と比べても4.6倍です。
4. 途中保存 — 「作業を中断できるか」という問題
ここが、この記事でいちばん実務に効く差です。
巨大ファイルの編集は、一発では終わりません。置換して、確認して、また直して——その途中で何度も保存したい。
昼休みに入るとき、別の作業に移るとき、そして単純に「ここまでを失いたくない」とき。
普通のエディタは、その1回の保存でファイル全体を書き直します。 48GBの1箇所を直しただけでも、48GBを書き出す。
今回の計測では、EmEditor の保存に 31分かかりました(0:17 開始 → 0:48 終了)。
これは「保存が遅い」という話ではありません。途中保存が事実上できない=作業を中断できないということです。
31分かかる保存を、作業の区切りごとに挟むことはできません。
3回保存すれば、それだけで1時間半が保存に消えます。
48GBの編集を、一度も保存せずに最後までやり切るしかない。途中で落ちれば、全部消えます。
UwEditor Pro の途中保存は、実測 0秒(押した瞬間に完了)です。
理由は非破壊オーバーレイ編集にあります。.uwvz(圧縮索引)は不変のまま、
編集の差分だけを .ewvz に積んでいく。書き出すのは差分だけなので、元ファイルの大きさに関係なく一瞬で終わります。
別の検証では、10.09GBのファイルに21,994箇所の変更を加えて、
差分ファイルは 3.7MB(元の0.037%)でした。
しかも .ewvz は編集中つねにディスクにあります。保存を押す前に落ちても、編集は残っています。
ここでいう「0秒」は、作業途中の保存のことです
編集結果を1つのファイルとして書き出す——.uwvz と .ewvz から新しい .uwvz を再構成する処理は別で、
こちらは当然サイズなりの時間がかかります。次の章がそれです。
5. 最終的な書き出し — 31分 が 1分33秒 に
作業が終わったら、編集結果を1つのファイルにまとめます。UwEditor Pro は
.uwvz(不変の索引)と .ewvz(編集差分)から、新しい .uwvz を1パスで再構成します。
| 時間 | |
|---|---|
| EmEditor(ファイル全体の書き直し) | 1,860 秒(31分) |
UwEditor Pro(.uwvz の再構成) |
93 秒(1分33秒) |
約20倍。
EmEditor 側にとっては、これは「途中保存」と同じ処理です。途中も最終も、毎回48GBを書き直す。
UwEditor Pro は途中を0秒で済ませたうえで、最終の1回だけ1分33秒を払います。
速い理由は単純で、書き出しているのが圧縮された索引だからです。生の48GBではありません。
なお、前回・前々回の記事で「最終書き出しの時間は別途計測して出します」と書きました。これがその数字です。
2日続けて直すと、どうなるか
巨大ファイルの編集は、一日で終わりません。翌日また同じファイルを開くところまで含めて見ます。
1日目 — 開いて、検索・置換して、保存する
| EmEditor | UwEditor Pro | |
|---|---|---|
| 開く | 103.6 秒 | 107.1 秒 |
| 検索・置換 | 405.2 秒 | 59.8 秒 |
| 保存(作業を中断するための) | 1,860 秒(31分) | 0 秒 |
| 合計 | 約 39.5 分 | 約 2.8 分 |
約14倍。 UwEditor Pro 側に「保存」の時間がありません。差分を書くだけだからです。
2日目 — 同じファイルを開き直して、続きを直し、書き出す
| EmEditor | UwEditor Pro | |
|---|---|---|
| 開き直す | 103.6 秒 | 計測不能(ミリ秒単位) |
| 検索・置換 | 405.2 秒 | 59.8 秒 |
| 1つのファイルに書き出す | 1,860 秒(31分) | 93 秒(1分33秒) |
| 合計 | 約 39.5 分 | 約 2.5 分 |
EmEditor は、2日目もまったく同じ39.5分を払います。 48GBをもう一度読み直し、もう一度書き直すからです。
UwEditor Pro の2日目は「開く」が消えます。 索引(.uwvz)が保存されているので、開き直しはストップウォッチでは測れませんでした(ミリ秒単位)。
代わりに、最後の書き出しで1分33秒を1回だけ払います。
この2枚の表が示していること
- 1日目に効くのは「保存」——差分だけを書くので0秒
- 2日目に効くのは「開く」——索引を保存してあるので、読み直しがない
設計は2つあって、効く場面が違います。 そして EmEditor 側は、どちらの日も同じ39.5分です。
3日目、4日目と続けば、差はそのぶん開いていきます。
※繰り返しますが、これはメモリ16GBのPCで48GBを扱った場合の数字です。
メモリに収まるサイズなら、EmEditor のほうが速く終わります。
正直に書いておくこと
- UwEditor Pro は開発中で、まだ発売していません。 発売時期は未定です
- 編集機能の豊富さではEmEditorが上です。 マクロ、CSV編集、正規表現の細かな制御、プラグイン——
UwEditor Pro は「巨大ファイルを壊さずに直す」ことに絞った道具で、EmEditorの代わりになるものではありません - 10GB程度(メモリに収まるサイズ)では、EmEditor のほうが検索も置換も格段に速いです。
今回の結果は「メモリ16GBのPCで48GBを扱った場合」のものです。この条件を外すと、順位は入れ替わります - 検索の差には並列度の違いが含まれます。 EmEditor はスレッド数8を指定しても1スレッドで動作していたように見えました
(メモリとファイルサイズによる自動判断と思われます)。UwEditor Pro は8スレッドです。
メモリに余裕があれば、この差は縮むはずです - EmEditor 側は2回計測し、平均と個別値の両方を出しました。1回目と2回目で最大1.7倍の差が出ています
(OSのファイルキャッシュの影響と思われます)。速いほうの値と比べても差は残ります - UwEditor Pro 側は各1回です
- EmEditor の保存時間(31分)は、開始時刻と完了時刻の差から算出しました
- 2日目の数値のうち、「開き直す」以外は1日目と同じ実測値を再掲しています(同じ操作のため)。
UwEditor Pro の開き直しは速すぎて計測できませんでした(ミリ秒単位) - 今回の比較は「巨大ファイルを直して保存する」という一点についてのものです。 日常の編集作業全般の話ではありません
- ファイルを開く速度はほぼ互角で、ここに優位はありません
UwView Pro との関係
UwEditor Pro は UwView Pro を包含する上位版です。いま巨大ファイルを「見る」だけでよければ、
UwView Pro — Huge Files, No Waiting が現行の製品です。

